1996/09
  ラスベガス・ロサンゼルスツアー

 
9/20 マジックマウンテン
ビバリーウィルシャー
 この日はロサンゼルスから北方面に1時間ほどハイウェイを走らせた所にある絶叫マシン盛り沢山のテーマパークシックスフラッグス・マジックマウンテンへと向かう。この日は母親だけは絶叫マシンが苦手なのでホテルへ残ることに。
 昨日予約しておいたエレファントツアーのドライバーが8時半にホテルへとピックアップにやって来る。運転手は初老の日本人男性。今日のツアーには自分たち3人以外にもう1組が参加するらしく、その参加者たちをピックアップする為にビバリーヒルズの高級ホテル、ビバリーウィルシャーへとバンは向かう。このホテルは、映画ビバリーヒルズコップやプリティーウーマンでも登場している。このホテルから乗車してきたのは、なんと男性2人組。新婚旅行のカップルだとばかり思っていたので非常に意外だ。まあ相手側から言わせれば、こちらも男性1人に女性2人と言う変わったグループに首を傾げていたかも知れないけど。

シックスフラッグス・プラザ
 バンは再び走り出し、フリーウェイI−5をとばす。この時間帯は渋滞が予想されたが、予想に反して当初の予定よりも早い9時15分頃にはマジックマウンテンへと到着。現地に到着するとバンのドライバーから帰りのピックアップの時刻が16時半だと知らされる。自分たちは帰りのピックアップの時間は18時としてあった筈なのに、1時間半も前になるとはおかしい。これにはアッコちゃんが猛烈に抗議する。ただドライバーもオフィスの方から聞かされただけらしく困り果てる。しまいには、オフィスに電話をして直接話しをして欲しいと言われてしまう。早速オフィスに電話をして、交渉するが結局お互いに妥協しなければ話しはまとまらない感じで、結局17時のピックアップとなる。
 気分をかえてチケットカウンターで1人$33を支払ってチケットを購入。そしてそのまま混雑の無いパークへと進む。入場ゲートをくぐるとシックスフラッグスプラザと呼ばれるエリアになる。ここには多くのショップが集中している。
 このエリアのシンボル的な噴水の前では、バックスバニーなどワーナーブラザースアニメの人気キャラクターが大集合していて、開園時間にあわせてテープカットセレモニー。この日が特別な日な訳ではなく、毎開園時間に行われているのだと思う。そのセレモニーを横目に、自分たちはこのエリアでは唯一絶叫マシンであるFLASHBACKへと向かう。このマシンは、車両編成の短いコースターが立体的に構築されたコースを非常に複雑に回るコースター。通常のジェットコースターは長い距離の上下を繰り返すのが基本だが、このコースターはとにかくひねりや急カーブなどが多い。最初からなかなかスリルのあるコースターで、この先が思いやられる。開園直後で待ち時間は0分。

ハイシエラ・テリトリー&バックスバニー・ワールド
 自分たちは今日はパークを左回りに回って行く事にする。大きなセコイアの木が目印で森をイメージしたハイシエラ・テリトリー&バックスバニー・ワールドエリアへと移動。ここで最初にしたのは食事。まだオープンしたばかりで店内の掃除も済んでいない状態のムースバーガーロッジでハンバーガーを買い込み、腹ごしらえをする。
 食事を済ませて最初に向かったのは、この旅行で3度目となるログボートのウォータースライダーのLOG JAMMER。この手のウォータースライダーは、本当にどこのパークにもあるものだと思いつつも乗ってしまい、そして濡れてしまう。ここマジックマウンテンでは絶叫モノが多いだけに、身長制限のあるモノの多い。しかし、このエリアでは比較的小さな子供でも乗る事が出来るモノが多いし、ファミリー向けのエリアとも言える。

 このエリアの前方には大きな鉄塔が見える。自分たちが次のエリアであるパイレーツコーブへ向かっている時、もの凄い轟音を挙げて、1両編成の幅広のライドがその鉄塔の頂上まで垂直に駆け上がって行く。パーク25周年を記念して建設された世界最強と言われる絶叫マシンのSUPERMAN THE ESCAPE。カタパルト発進するライドは時速は140Kmで一気に高さ120mまで垂直になって駆け上がり、今度はその頂上から一気に落下。絶対に体験したスーパーライドだが、残念な事にオープンが延び延びになっている。ロス市内を案内してくれたガイドから聞いた話では、試験走行中に心臓発作を起こした人がいるからまだオープン出来無いなどと如何にもうそ臭い話しをしていたが、やはり安全性を確かにする為に今現在でもテスト走行を繰り返しているのだろう。このライドがオープンしたら、一番人気になるのは間違いない。

プリムス・プレイス
 パイレーツコーブでのメインアトラクションはBUCCANEERで、日本ではバイキングとかパイレーツと呼ばれるモノ。ここを通過して、プリムス・プレイスへと進む。ここには巨大な白塗りされた木製ジェットコースターのColossusがある。歴史を感じさせる複線(2つの線路がある)コースターで、木製としては世界最大らしい。比較的緩やかな上下を繰り返すシンプルなコースターだが、乗車時間が2分半近くと非常に長いのが特徴。ジェットコースターが苦手な人でも、比較的安心して乗れる初心者向きのコースターではないだろうか。

ゴッサムシティー・バックロット
 Colossusを乗り終えると、映画バットマンのセットの様な場所であるゴッサムシティー・バックロットへ。ここでの一番人気はやはりここの名前に関連したバットマンの絶叫マシンであるBATMAN THE RIDE。その前までは、HOLLYWOOD BACKSTREETと言うエリアだったが、近年改装されてこのアトラクションとなった。
 このBATMAN THE RIDEは吊り下げ式のコースターで宙返りもある超上級向けの絶叫マシン。通常のコースターが線路固定型の滑車コースターであり、ある程度安定した走行をするのに対し、この吊り下げ型コースターは振り子の様によく揺れる。迫力満点だが、乗り物酔いする人には注意が必要な絶叫モノ。

モントレーランディング
 次のモノトレーランディングは、バットマンのショーを行うスタジアムと、フリーフォール、ウォーターシュートなどクラッシックなライドのあるエリア。
 最初にウォーターシュート系のライドであるTIDAL WAVE。昨日のユニバーサルスタジオジュラシックパークの様な大きめのボートでウォーターシュートする。ただ落下するのはラスト1回だけで、それ程怖くはない。ただ非常に濡れる事だけは覚悟しておいた方がいい。またこのライドへ向かう通路の橋脚はスプラッシュゾーンとなっているので、通行時は気を付けないとびしょ濡れ。子供たちなどは敢えて、そのスプラッシュゾーンで水しぶきが飛んでくるのを待って、大はしゃぎしているくらい。

 もう1つの絶叫マシンのフリーフォール。こちらは日本の多くの遊園地でも体験出来るモノと全く同じで、落下時に瞬時ではあるが無重力を体験出来る。足下がメッシュ状の板になっていてはるか下が丸見えなのが怖い。

サイクロンベイ
 モノトレーランディングの隣のアリアのサイクロベイは、巨大な木製コースターPSYCLONEから名前をとっている。
 まずはMGMグランドアドベンチャーで予約一杯で体験する事が出来無かったスカイスクリーマー。ここでの名前はDIVE DEVIL。半分諦め気分でカウンターに向かうと、30分後に予約が出来ると言うので3人一緒に頼むことにする。
 このエリア最初のライドはこの日3つ目のウォーターシュートであるJET STREAM。最初に乗ったLOG JAMMERに非常に似ているが、こちらの方がスピードは速いし、動きも激しくラストのシュートも急角度。ライド乗車後に最後の急斜面で撮影された記念写真も販売されている。
 この後は、このエリアのメインアトラクションである巨大な木製コースターであるPSYCLONEに。このマジックマウンテンで唯一、順番待ちをしたのはこのライド位だろう。乗車まで10分余りの順番待ち。
 このパークでは、このPSYCLONEと先ほど乗車したCOLOSSUSが2大コースターと言える。COLOSSUSが比較的初心者向けならば、こちらは中級向けコースターと言える。茶色い木目その物の色の構造で組み上げられ、至る所にワイヤーが張り巡らされている。コースターが通る度にそのワイヤーがしなり音をあげ、激しく走り抜ける。コースター自体の絶叫的な怖さと言うよりも木製ならではの怖さというのが特徴と言えるPSYCLONE。日本国内でも同様のコースターが立て続けにオープンしているのが納得出来る。このコースターのクラッシックな味わいのあるジェットコースターの1つ。

 13時過ぎ、PSYCLONEを終えて、予約していたDIVE DEVILに戻る。このアトラクションだけは、別料金になっている。また$20程でビデオ撮影サービスもしており、3人同時に体験するので撮影する事が出来無いのでこのサービスを利用する。
 そして順番を待つ。自分たちより前の人たちも男性1人、女性2人のグループ。体重を調整しながら太いワイヤー状にぶら下がり、別のワイヤーで上方へと徐々に引っ張られていく。一番上方に上がった時点で、制御室からカウントダウンされ、一番右側にいる人がロック解除をすると振り子状に急落下する。ところが自分たちの前のグループの3人でロック解除をするのは女性。余りの高さにびびってしまったようで、カウントウンは何と3回も行われた。
 いよいよ自分たちの番が回ってくる。まずお腹の部分を覆うマットが取り付けられた安全ベルトの取り付けをしておく。これは体のサイズによって種類は大きさが変わり、係員がサイズにあった物をチョイスしてくれる。
 準備が整うと電話工事の作業員が電柱工事の際に乗るようなカゴに乗せられ、ワイヤー固定位置まで数メートル上昇。前の人たちの金具が取り外されると交代で自分たちに取り付けられる。この時、アッコちゃんが一番右側に位置し、ロック解除の大役をする事になり、係員から説明を受ける。
 安全が確認されるとカゴがゆっくりと下降。その瞬間に今まで立っていた自分たち3人は宙吊りに。何の前触れもなかったので、ちょっと驚く。完全にカゴが下に降り、前のグループが退場を始めると同時に後方に取り付けられたワイヤーがゆっくりと自分たちを上方へと引っ張り始める。
 徐々に上に上がっていく事で恐怖が増す。スカイダイビングの様に陸地が遙か彼方でおもちゃの様にしか映らない状況ならば恐怖は薄れるのだろうけど、この様に下の状況がはっきり見えると本当に怖い。高所恐怖症の人には勧められない。
 完全に上昇が停止すると、間髪おかずにカウントダウンがされる。それに合わせて、アッコちゃんは何の躊躇いもなくロック解除を行い、自分たち3人は一気に下に向かって急降下する。絶叫と共に一番下のカゴのする上を通過して、反対側の上の方へと。反対側の頂点に達すると再び反対側へと振り子状に戻される。
 自然の法則に則ったアトラクションなので、次第にその振りは小さくなってゆく。ある程度振りが小さくなると係員が下の方から輪のついた棒状の物を自分たちの方へと突き上げ、それに掴まるように指示する。それに掴まる事で自分たちは完全に停止し、次のグループを乗せたカゴが上昇して金具が取り外されてこのアトラクションは終了する。撮影して貰ったビデオを受け取って、次のエリアへと移動する。

サムライサミット
 隣のエリアのサムライサミットに移動して、NINJAと言う絶叫マシンに乗車。乗り場はちょっと小高い山の上にあり、中国寺院をイメージした建物が目印。小さな山の中を俊敏に動くコースターはBATMAN THE RIDE同様の吊り下げ式コースターで上級向けと言える。NINJAと言う名前の由来は、やはりその機敏な動きから来ているのだろう。

 14時を過ぎて、このテークでは珍しい絶叫モノではない場所へと向かう。同じエリアにある展望タワーのSKY TOWER。360度の展望が楽しめる場所で、この日も快晴だったので遠くまで見渡す事が出来た。このマジックマウンテンは、ロサンゼルスの郊外にあり、市街方面を見ても広々とした住宅街が見えるだけ。北側はそれ程高さの無い山が目前にあるが、この山は現在切り崩して整地中。もしかするとこのパークは今後まだまだ拡張の一途を辿るのかも知れない。

ラピッズキャンプクロージング
 SKY TOWERの乗り場を下った場所にあるROARING RAPIDSMGMグランドナッツベーリーファームにもあった、丸いボートに乗って急流を下るアトラクション。壁にぶつかったり、川底がデコボコだったりして揺れたり回ったりと激しい。乗り場付近では、アスファルトの上にお尻をつけて、通路沿いの柵に靴下を干している人たちなどを多く見かける。
 自分たちもこの旅行で3回目だが、やっぱり激しく濡れる。そしてアメリカ人たちと同様にアスファルトに座り込んで、靴の中の水を出す事になる。絶対に濡れるアトラクションなので要注意。

ジャバ・レイジ
 いよいよ最後のエリアとなるジャバ・レイジへと到着。ここには、REVOLUTIONVIPERと言う2つのコースターがある。
 最初に乗車したのはREVOLUTIONで、こちらは世界で最初に造られた宙返りコースター。今となってはその絶叫度は他のライドの前では霞んでしまう感もしないではない。
 続いてVIPER。こちらは日本でも経験出来無いコースターで、この当時は世界最大のループコースターと言う記録を持っていた。高低差が大きく、走行速度も速い。更に3度に及ぶループと多くのねじれは、結構体に堪える。このパークの中でもトップレベルの絶叫ライドと言えるのではないだろうか。
 フラフラになりながら、コースターを降りる。ところが自分たちより前の方に乗っていた子供がそのまま席をたたずに2度目を乗ろうとしている。確かに順番待ちをしている人も殆ど居ない状況だったので、係員も何も言わない。自分もフラフラになっていたにもかかわらず、その子供の真似をして再びコースターの席に座る。他の2人は1回乗ったらもう十分と言って出口に向かった。そしてVIPERの2回目を間髪おかずに乗車した自分は更にフラフラになりながら2人の待つ出口へと向かう。

シックスフラッグス・プラザ
 子供向けの乗り物や日本でも見かけるアトラクションを除いて、これで一通りのアトラクションや絶叫モノを制覇。よく考えれば、昼時にDIVE DEVILを体験した関係で昼食抜きとなっていた。ひたすら歩き続け、ちょっと疲れ気味。遅い昼食を兼ねてパイレーツコーブのFOOD ETC.と言うカフェテラスに。
 夕方に近い時間だったので店内はガラ空き状態。パスタやらピザを注文したのだが、このパスタが究極の不味さで驚き。ミートボールがのったパスタだったが、パスタがのびきっている。これって、混雑している時間帯ならもっと美味しいのだろうか。とにかく今回の旅行の中で最も不味い食べ物はずばりここのパスタ。

 バンのピックアップ時刻17時に近付き、自分たちも集合場所に向かって歩き出す。正面のシックスフラッグス・プラザでは帰って行くゲストたちの為にバックスバニーほかのキャラクター達が見送りをしている。混雑もしていないし、記念撮影にも気軽に応じてくれる。
 このエリアにあるショップだが、キャラクター商品などが置いてあるが規模はこれまでに訪れた3つのパークに遠く及ばない。特に欲しいという物も無かったので、帰る人も疎らな退場ゲートをくぐって駐車場へ。集合場所には同乗してきた男性2人組がバンを待っている。
 自分たちが集合場所に来てまもなくして迎えのバンが到着。夕方のラッシュで混雑しているフリーウェイをロザンゼルス市街へ向かい、最初にビバリーウィルシャーで男性2人組をドロップ。そこからは一般道でシェラトングランデへ。この1時間余りの移動時間は非常に貴重な休息時間となった。

コリアタウン/ウー・リー・オーク
 20時過ぎになって、夕食を食べにコリアタウンへと向かう。ロサンゼルスでは、中華街は非常に寂れてしまっているがここコリアタウンは非常に大きく発展している。
 自分たちがホテルからタクシーで向かった先は、コリアタウンでも最も大きく有名な韓国料理店であるウー・リー・オーク(Woo Lea Oak)。ロス市内観光をした時にガイドに教えて貰ったレストランのうちの1軒がここ。もう1軒は店も判りずらし、汚いので一般観光客が行ける様な店からこちらの方がお勧めと言われていた。地球の歩き方ガイドブックでも、ミッドウィルシャーのレストランではトップで紹介されている。
 ホテルから20分ほどでレストランに到着。タクシーは正面入口で下ろしてくれるのかと思いきや、遮断機まで用意されている警備員付きのゲートに入って自分たちを下ろす。そして裏口らしき入口から店内へと入るのだが、何か物々しい感じ。後で知った事だが、この地域の治安は余りよくないらしい。ある程度の格式のレストランだと駐車場にも警備員を配置して、来店客にトラブルが起こらない様に配慮している。

 予約無しで訪れたのだが、すぐに席へと案内してくれる。自分たちの隣ではロス在住の商社マンらしきグループが焼肉を突っつきながら何やら仕事の話しをしている。店員の女性は韓国の民族衣装を着て、自分たちに日本人であるかどうかを物腰柔らかく尋ねてくる。日本人と判ると日本語のメニューを持ってきてくれた。またここの店員は片言ながら、日本語を話す人やヒヤリングが出来る人が居るので、英語が苦手な人でも全く問題ないだろう。
 この時に自分たちが食べたのは焼肉をメインに石焼きビビンバ、チゲ鍋など。日本酒が置いてあって、比較的安価なのも嬉しい。メインの焼肉だが、味は日本で食べる焼肉の方が繊細の様に思えた。カルビと言えばその脂身が肉の味も決めてしまうがここのカルビはそれ程脂分の無い肉。またハツは元々クセのある肉だとは思うが自分口には合わなかった様に感じる。ただボリュームは満点で、ビビンバなどは十分満足出来るレベル。
 店内は焼肉の煙でモクモクしているが、禁煙。これは法律で決められている事で、ロザンゼルスでは屋内のレストラン等でタバコを吸う事はまず出来無いと思った方がいい。この時、自分は仕方無しに店の正面から外に出てタバコを吸う羽目になった。危ないからと周りの3人に言われたが、店の入口前なら何ら問題は無いだろう。ただタバコを吸いながら周辺を見ていると、車の往来は激しいがやはり人通りは少ない。道路を挟んだ反対側にはバス停があり、そこではバス待ちをしている人が数人。更にその後方は大きな更地となっていたのだがパトカーが照明類を全て消して、なりを潜めているのが見えた。
 再び店内に戻る。皆が食事を終えた所で会計とタクシーを依頼。するとタクシーはすぐ乗れるからと言われて、来た時と同じ裏口に向かうと出口には黒塗りの大きな車と人の良さそうな韓国人ドライバーがドアを開けて待っていた。

ウェスティンボナベンチャー
 黒塗りの大きな車は、リンカーン・タウンカー。早速車内に乗り込むとメーターも無いし、タクシードライバーが書き込む記録表などに記載する様子も無い。どうもこの車はタクシーではないようだ。VIP客の送迎などに使われる車と運転手がたまたま空いていたので使っただけなのではないだろうか。でもそのお陰で滅多に乗る事が出来ない立派な車に乗れたのだから、店に感謝をしなければいけないかも。
 予め店内で行き先を告げていたが、俳優チョン・ユンファを崩した様な風貌の愛想のいいドライバーに再度行き先をウェスティンボナベンチャーである事を伝える。車はミッドウィルシャーからダウンタウンに向かって走り、その車内ではドライバーがこの付近の状況について色々と説明してくれる。非常に判りやすい英語で自分たちも簡単に理解出来ると思ったら、このドライバーもロサンゼルスに移り住んでまだ3年目。だから英語の苦手な人たちの気持ちが判るから、言葉がブロックブロックで相手が聞き取れないとゆっくりと話しをしてくれるのだろう。現地でアメリカ人に同じ対応を求めても絶対に同じペースでペラペラと喋り続けるのが一般的。
 車中ではコリアタウン周辺が非常に危険地域である事を教えて貰う。夜出歩くのは大変危険だし、麻薬の売人がどの辺りに立っていて、それを買い求める人たちが来る場所とかも説明してくれた。

 色々と話しをしているうちに車は、ウェスティンボナベンチャーへ到着。自分たちが宿泊しているシェラトングランデとは道路を挟んですぐの場所。このホテルに訪れた理由は、最上階にあるラウンジバー夜景が良く見える事と多くの映画で登場するこのホテル自体にも興味があったから。
 このホテルは5つの円柱から成り立っていて、各棟へのエレベータが四方にある。この場所も近年では、クリント・イーストウッド主演のシークレット・サービスやシュワルツェネッガー主演のトゥルーライズに登場。そのエレベータに乗って最上階へと向かう。エレベータからは次第に上昇して行く様子と屋外の様子を窺う事が出来る。エレベータを降りるとすぐにラウンジへの入口なっているのだが、入場待ちしている先客達がいる。自分たちもその列に並んで、席に案内されるのを待つ。
 10分ほど待って席に案内される。このラウンジはフロアがゆっくりと回転していて、高い位置からロサンゼルスの夜景を360度見渡せる。本当に素晴らしい夜景で、混雑してるがここに来て良かったと思った。どうせ訪れるなら夜景の綺麗な夜の方がいいし、短時間滞在で運が悪いとビル群しか見えなかったりするので1時間は滞在したい。

 大満足でラウンジバーを後にし、エレベータでロビーフロアまで降りる。ここからシェラトングランデまで帰るのだが、フェゲロア通りを挟んでウェスティンボナベンチャー北端とシェラトングランデ南端は歩いても3分もかからないだろう。しかし、どんなに近くても夜間は歩かない方が良いと聞かされていたし、実際にロサンゼルスに危険な地域が存在する事も頭の中に焼き付いた4人は悩む。しかし、目と鼻の先だからタクシーを使うのもどうかと思い、最短ルートを徒歩で戻る事に。
 ホテル建物内で最北端の出口を出て、車が全く走っていない広いフェゲロア通りを斜めに横断し始めた瞬間、後方30メートルあたりに紙袋を持った浮浪者がどこからともなく現れてわめき散らしている。そしてこちらに走って向かってきそうな雰囲気をした瞬間に自分は小走りになりながら、ビデオカメラをその方向に向けた。浮浪者は追いかけて来る事も無かったし、浮浪者により近い位置を歩くアメリカ人家族連れは平気な顔をしていたのでこれは大丈夫だろうと感じる。そして前方に視線を向けると、3人は自分の遙か前方まで走っていた。
 ホテルに戻ったのは午前0時はゆうに過ぎていた頃。部屋では日中ホテルに留まっていた母親を除いて、明日の帰国に向けて荷物のパッキングをする。荷物は多いし、酒は飲んでいるし、眠いし、本当に帰国前のパッキングは辛い。

 
 
 
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