2002/01
  台北(台湾)ツアー

 
01/24 市内観光、小籠包、満漢全席(1)
忠烈祠(ツォンレイスー)
 茶藝店で買い物を済ませた団体は再びバスに乗車し、忠烈祠へと向かう。茶藝店を出発して暫くすると基隆河を越える。その先には、中国宮殿をのっぽにした非常に珍しく目を惹く圓山大飯店(The Grand)が左手に見えるこのホテルは、元々日本が統治時代に建築した神社のあった場所に蒋介石の指示によって1952年に建築された。世界の要人などが訪れた際には、このホテルを利用しているらしいが近年大きな火災があったらしく、それ以後は一般宿泊客の人気は下降気味とのこと。

 圓山大飯店が見えるとすぐに忠烈祠へと到着する。この忠烈祠は、1969年に建立された場所で第二次世界大戦時に日本軍や中国共産党軍と戦った国民党兵士を祀った場所である。
 ここでの名物は何と言っても、この忠烈祠を守る衛兵たちだろう。正面入口にあたる大門牌樓、33万人の慰霊を祀る大殿にそれぞれ2人ずつの衛兵が直立不動でいる。この衛兵たちは、どんなことがあろうとも動いては行けないらしく、交代までの1時間は人形同然に銃を片手に立っている。
 その光景に自分たちも含めて、この旅行参加者たちは写真を撮りまくっている。観光客のバカ騒ぎに慣れっこなのか、任務なのか知らないが、この衛兵たちは全く動かない。ただ稀に面白がって、不動状態の衛兵に触れたり、ちょっかいを出す観光客がいるらしいが、戦没者を祀っている場所でもある訳だし、そのような行為はやめておいた方がいい。

 14時になると大門牌樓脇の詰め所から、おもちゃの兵隊のような非常にユニークなゆっくりとした動きで交代の衛兵が登場する。いよいよ衛兵交代の始まりである。
 非常にゆっくりとした動きだけあって、これでは交代が完了するまでには30分はかかるだろうと想像出来る。一旦、大門牌樓を背に整列した衛兵たちは、周りを囲む観光客がそのペースに合わせるのが難しいほど、ゆっくりゆっくりと大殿へ向かって行進を始める。多くの観光客がその行進する衛兵の前方に立って記念写真を撮っていたりするのだが、中には衛兵の目前に立ちはだかって行進の妨げとなり、この衛兵交代の監視している軍関係者から注意を受けるおっさんも居た。

 自分は早々と伏見らと行進を囲む一団から離脱して、大殿へと先回りをする。この旅行参加者たちを含む殆どの観光客が行進している衛兵の周りを取り囲むようにして大殿へ向かってくるのは、傍目から見ていると非常に滑稽にすら映る。

 それから暫くすると大殿正面にある山門を衛兵たちと観光客がやって来る。自分たちは早々とこの場所へと来ていたので、大殿を守る衛兵の交代を目前で見ることが出来る。この時もビデオ撮影に必死で、ついつい大殿の階段を昇ってしまい、注意を受けているおっさんを発見。人間、程々であることが必要なんだよね。
 衛兵交代の面白いところは、交代した衛兵が定位置に立つと、衛兵と一緒に歩いてきてやりすぎの観光客を注意していた軍関係者が、頭の位置やヘルメット、服装などをチェックして正すところだろう。人によっては、顔を拭かれている衛兵までいる。

 大殿での交代が終了すると、任務が終了した衛兵と共に大門牌樓へ戻り始める。大殿に向かう時と全く同じペースで、ゆっくりゆっくり行進し、大門牌樓の衛兵の交代が行われ、先程と同じように軍関係者が仕上げをしたところでこの衛兵交代は終了する。


故宮博物院
 忠烈祠を出発して、4Kmほど北に向かってバスは走る。トンネルをくぐる(小さな小山を1つ越える)と、緑が広がる山間の場所に国立故宮博物院が見えてくる。
 台北の市内観光の定番コースと言われる龍山寺中正紀念公園忠烈祠と回って来たが、この故宮博物院はこれら名跡や名所の中でも最も見所が多く、観光に時間を要するところであろう。

 この故宮博物院は世界で指折りの博物館の1つに数えられる程、その規模、常設展示品、保有文化品が多い。故宮とは、北京の紫禁城のことを指すそうで、混乱期の中国で略奪や破壊が繰り返される中、国民党が台湾まで70万点余りの品を運んできたらしい。それら文化的資産を公開する為に1965年にここが建立された。70万点が常に展示されているわけでは無く、3〜6ヶ月ペースで展示品の入れ替えは行われていて、大体2万点余りが展示されている。
 建物は3階まで展示フロアとなっていて、1階はショップ、中国と世界の年史、青銅器、特設展示などがある。2階は陶磁器、絵画、書画、視聴覚室など。3階は彫刻品、玉器、琺瑯などが展示と小さなショップ。4階はレストランとなっている。
 ここでの自由時間は1時間半とられた。到着したのが14時半過ぎなので16時まではここに居ることになるわけだが、このような歴史的価値のある陶磁器や装飾品、絵画などに興味の無い人にとっては辛い時間だろう。周りを見回すとそれに当てはまりそうなのが3人(シマ、伏見、ショーゴ)いる。

 余りに広い博物館なので、最初に現地ガイドが30分ほどかけて名宝などをピックアップして説明をしてくれることになった。汗をかきながら、必死に日本語で説明をしている現地ガイド。それに聞き入ってガラスケースの中に納められた珍しい品々をのぞき込む旅行参加者たち。説明するのが1人なのに、その説明を聞こうとする人が50人以上いるのだから無理がある。
 これだけは見ておいた方が良いと言う品を、ピックアップして説明をしてくれるのは3階フロアだけ。30分も時間があると思っていたら、1フロアの広いことと展示品の多いこと。いつの間にやら、早足で次から次へと説明が行われ、清水さんはこの段階で脱落してソファーに座り込んでしまった。

 現地ガイドが最初に言っていたが、やはりここ故宮博物院は3階フロアに最も貴重で価値のある品々が並んでいるように思えた。古代中国から各時代の王朝が、自らの権威を誇る為に作らせた品々は見る価値がある。特に翡翠(ヒスイ)を使った玉器は中国ならではの品と言え、動物の形に彫刻された物や円盤状、皿状に加工された物など様々である。
 同じ3階フロアに展示されている彫刻品もその技術の素晴らしさを感じさせる物ばかりで、中には彫刻の中に更に別の彫刻が彫られている物、象牙を一刀彫した塔などもある。また古代の王たちが愛用していた小物や玩具などは、いまいち利用方法が判らない物もあったが非常に細かい細工が施されている品が多い。

 2階には絵画や書画、陶磁器が並んでいる。基本的に故宮博物院はフラッシュを使用しなければ、館内での写真撮影は可能。但し、2階フロアの絵画や書画に関しては撮影自体が禁止されているブースもあるので注意が必要だ。
 陶磁器は皿、壺、茶器などがあり、その大きさや形も時代によって様々。勿論、その彩色も鮮やかな色合いもあれば、非常にシンプルな渋みのある品も多く並んでいる。残念なのが、これら素晴らしい文化財の前に立っている自分たちがそれらの品々を見分けたりする才覚が無いことだろう。
 2階には絵画や書画、陶磁器が並んでいる。基本的に故宮博物院はフラッシュを使用しなければ、館内での写真撮影は可能。但し、2階フロアの絵画や書画に関しては撮影自体が禁止されているブースもあるので注意が必要だ。
 陶磁器は皿、壺、茶器などがあり、その大きさや形も時代によって様々。勿論、その彩色も鮮やかな色合いもあれば、非常にシンプルな渋みのある品も多く並んでいる。残念なのが、これら素晴らしい文化財の前に立っている自分たちがそれらの品々を見分けたりする才覚が無いことだろう。
 
 1階フロアまで降りてくると、館内は禁煙と言うこともあってシマたちは早々に外へと出ていってしまったので、自分1人で見て回る。この1階では青銅器が数多く展示されている。彩りの華やかさには欠けるが、それぞれ独特の形をしたものが多い。
 
 自分も駆け足で1階フロアを見終わると、シマたちの後を追って博物館の外へと出る。この日の天気予報は、曇り時々雨だったがその予報は的中し、外は小雨が降り出していた。雨が降っていてもそれほど気温が下がることは無く、長袖を着ていれば、十分過ごせる感じ。
 雨が次第に強くなってきたので、現地ガイドが別の場所で駐車していたバスを早めに呼んでくれた。雨は小雨から本格的に降りそうな感じだったので、早々とバスに乗り込んで他の旅行参加者が戻ってくるのを待つ。バスの中から、戻ってくる人たちの顔ぶれを見ているとやはり若い人ほど時間よりも早く戻ってきている。逆に故宮博物院の展示品の素晴らしさが理解出来る高齢の人たちほど、時間いっぱいまで館内に留まっていたようだ。

故宮博物院のオフィシャルサイト(日本語選択可)



免税店
 16時過ぎに全員が戻ってきたことを確認するとバスは故宮博物院を出発。これで今日1日の市内観光は終わったのだが、たいして歩いたわけでもないのに皆お疲れ気味。特に清水さんは、
『もう歩けねぇ。』とわめいている。
 この後のスケジュールが現地ガイドから説明されて、免税店を2軒はしごして、満漢全席へと続くらしい。
 自分やシマは夕食の満漢全席の前に一旦ホテルに戻れると思っていたのでちょっと焦る。と言うのも、ビデオカメラのテープの予備が無いのだ。自分は録画途中のテープ以外に1本の予備を持っていたが、忠烈祠で撮影しすぎて予備テープも既に30分ほど使ってしまっていた。シマに至っては、もともとビデオテープを1本しか持ってきておらず、自分同様に衛兵交代を撮りまくって残り数分しか無いと言う。こんなぎっしりのスケジュールだったとは・・・。

 バスは再び忠烈祠前を通り、台北駅北部の古くから栄える繁華街へと向かう。如何にも台湾らしいネオンが目立つ繁華街に、近年進出したと思われる欧米のブランドショップの小綺麗なテナントが並ぶ。
 最初に向かった免税店は、賑やかな中山北路、林森北路では無く、林森北路の1本東側の新生北路に位置している。台北では老舗のローカルな免税店である新長龍(New Long Dragon)と言う店。バスを降りる際に現地ガイドが、
『たくさん買う人、価格交渉をしたい人は私に声をかけてください。この店は私が言えば、まけてもらえるからね。』と頼もしいお言葉。
 地下にある店へと階段を下りて向かって行く。雰囲気的には、昼過ぎに言った茶藝店と同じような感じ。階段を下りきると店員が一人ずつ番号が書かれたカードらしきものを配って行く。店内で受け取り出来無い物を購入した場合や商品受け渡しのトラブルを防ぐ為にもこのようなカードが役立つ。
 店の入口付近には、装飾品や時計や貴金属、財布などの革製品、そして香水などの化粧品がブランド毎に並べられている。そのスペースは店舗全体からすると決して広くはない。店舗の70%を占めるのは、食料品やお菓子、ヒスイなどの台湾オリジナルの土産品だ。ここで皆でお金を出し合って会社の土産を買うことになったが、シマがあっさりパイナップルケーキに決めて一件落着。そのパイナップルケーキを日本へ持って帰るのは、当然最年少のショーゴの仕事だ。
 それからはそれぞれが土産物の物色に入る。自分は入店当初からこの免税店で買うつもりはなかったが、カラスミだけはちょっと興味あったので覗いてみる。1房で3000〜4000円位。結構高い物なんだと言うのが印象だった。その他の土産物もひやかし程度で見て回るが、店員にテールツゥノーズでぴったりマークされて、いちいちその商品は安いとか説明されるのが結構苦痛。
 この店を見ていて驚いたのは、座卓などの大きな家具が売られていたこと。値段もピンキリだったが、高い物だと日本円で裕に100万円を超えていた物もある。台湾の免税店で、このような家具を買って帰る人はいるのだろうか。
 またこの新長龍は日本語で買い物が出来、NTドルやカードのほか、日本円も使うことが出来る。

 この免税店では、45分の時間がとられたがはっきり言って時間を持て余す。まだ出発まで20分以上あったので、自分と伏見は店外へと出ることにする。その時、何やら怪しげなレトルト製品を買っているショーゴを見かける。
 店外に出ると雨が結構強く降っていた。自分たちと同じように時間を持て余している人たちが数人タバコを吸っていた。自分と伏見は、新長龍の上階、つまり1階にテナントとして入っているトイザらス(TOYSRUS)で子供のお土産になるものがないかと思い、覗いてみることにする。このトイザらスは、日本にも進出しているアメリカの大手おもちゃ店。日本の同店の場合、子供服なども販売されているのでちょっと期待して行ったが、残念ながら子供服は置いてないようだ。また伏見曰く、値段は日本の同店と余り変わらないようで、物によっては日本の方が安いとのこと。ちょっとガッカリして店を後にする。

 集合時間になるまで、何本タバコを吸っただろう。現地ガイドの
『バスが来ましたよ。』と言う言葉を聞いて、雨に濡れないように駆け足でバスへと向かう。
 バスに乗り込み、旅行参加者全員が揃ったところで、新長龍からすぐ近くの晶華大飯店の地階にあるDFS(ディーテーフリーショッパ−ズ)へ。世界中の主要都市に必ず店を構えるDFS。時間の関係上、故宮博物院を出発した時にはキャンセルする筈だったが、旅行参加者の一部から『是非行きたい』と言う声があがり、結局行くことになったそうである。
 ところが店の前まで行くと、長い長い行列。自分たちは入場規制でもかけているのかと思っていたが、現地ガイドが店内へ行って聞いたところによると、DFSの会員の為の特別セールが17時半から行われる為、そのセールに並ぶ人たちの行列であることが判った。その特別セールの為、既に一般の入店は終了していた。
 晶華大飯店の周辺はこの台北駅北部でもとても賑やかな場所で、中山北路、南京東西路、林森北路沿いに多くの店が建ち並ぶ。DFSに寄る位なら、ここをブラブラ散策した方がいいなと自分は思った。

 バスに戻ると、現地ガイドから
『残念ながら、免税店は17時半で閉店です。明日も同じセールがあるので、17時半閉店なので、明日の夕食の前に寄りましょう。』と。それを聞いて、『寄るのかよ!』と声に出して言いそうになった。


翠園・満漢全席
 買い物が終わるといよいよ夕食。昨日は旅行参加者全員集まっての食事というのが無かったので、今からの夕食がウェルカムパーティーと言うわけだ。
 バスは台北駅から300m程しか離れていない来来大飯店(Lai lai Sheraton)へ。台北駅南口の忠孝東西路を東に向かった場所にあり、周りは行政機関の建物が並んでいるが、デパートなどの立ち並ぶ繁華街へも近い、非常に好立地にあるホテルだ。
 来来大飯店は、台北でも老舗ホテルで一流と賞されているが、このホテルの地階にあり、今から食をする翠園満漢全席(実際にはミニ満漢全席)で有名な一流レストラン。

 来来大飯店にバスが到着すると、自分とシマは昼食の時のようにテーブルがバラバラになってしまわないように競歩選手のような早足で先頭を行く現地ガイドの後を追う。
 そして翠園の一般客の座るテーブル席の奥にある貸し切りの部屋へと行くと、古代宮廷の衣装をまとった男女店員たちが膝間つき、銅鑼を鳴らしながら自分たちを出迎える。ちょっと照れくさい思いをしながら、そこを通過して早々とテーブルをキープしたことで、後からちんたらやって来た清水さんやコージも同じテーブルに座ることが出来た。

 最初に今回の主催者からの挨拶が行われ、紹興酒による乾杯が行われる。昼食時と違って、今度は何の気遣いをする必要も無い相手ばかりだから和気藹々と、ビールもついついすすんでしまう。そんなことをしていると、銅鑼が打ち鳴らされ宮廷衣装を着た店員が巻物を持って入場。巻物を広げて、満漢全席の最初の料理を中国語で告げる。勿論、誰一人中国語が理解出来るわけも無いが、予め各席に小さい巻物が置かれてあって、料理メニューが日本語でも書かれている。それだけ、このレストランの日本人の利用が多いということだろう。ちなみに、この翠園は日本語が通用するレストランでもある。

 最初にテーブルに運ばれて来たのは、子豚の黄金焼き(紅袍献瑞)。テレビなどでは見たことがあるが、丸々焼いてあるのを実際見るのは初めて。こんがりきつね色に焼かれた子豚だが、グロテスク感は全く無い。円卓の上に載せて、一周回して料理を見せるとその子豚の黄金焼きは引き上げてしまう。あれあれと思っていると暫くして、皿に盛られた豚の皮だけが運ばれてくる。皮以外の残った肉の部分はどうするのだろうと誰もが思いながらも食事は始まる。

 各テーブルには決まった店員が料理を運んだり、皿をさげたりしてくれている。ただでさえ動きにくそうな衣装を着ているのに、ヒールの部分が異常に高いサンダルのような物を履いている。こんな恰好でよく粗相をしないなと伏見と感心していた。
 自分たちのテーブルを担当していた店員の子は、最初のうちは無表情で冷たい感じだった。全く何も喋らずに、ただ事務的な感じさえしたが、次第に酒が入ってきたシマ中心にその店員の子に喋りかけ始めたことで、時折笑顔がのぞけるくらいになった。折角、豪華で美味しい食事を楽しんでいるのだから、テーブルサービスの方も笑顔でしてもらった方が嬉しい。

 料理は、フカヒレの姿煮、車エビの香味炒め、アワビのオイスターソース煮込み、鹿肉とスッポン炒め物と続いて行く。これら料理の中でも、初めて食べる食材は珍しくない。一品、一品がテーブルに運ばれてくる度に驚きと感動の声があがる。自分の感想としては、やはりフカヒレ、アワビは感動的だった。その食感を味わうとされるフカヒレは、日本のレストランでは申し訳ない程度しか盛られていないが、流石に4000NTドル以上する満漢全席のコースだけあってボリュームも満点。とろみの効いた醤油仕立てのスープとマッチしている。またアワビ料理も大きなアワビの半身が出される。かなり濃厚なスープがかかっているが、このスープにもアワビの味がしみ出ていて一滴も残さずの飲めてしまう。
 この他に中国手打ちそば、中華風デザート、ツバメの巣とココナッツミルクのスープ、デザートが出される。やはりこれら料理の中でもツバメの巣とココナッツミルクのスープは珍品。このツバメの巣もその食感を味わうものだが、ゼラチン感覚でココナッツミルクとよく合うように思えた。

 また料理の途中途中に色々なイベントも用意されている。古琴と胡弓による演奏、男女2人組による曲芸、シェフによるスイカへの牡丹花の彫刻実演、主催者によるビンゴ大会などが行われた。古琴と胡弓による演奏は優雅な雰囲気を醸しだし、豪華な料理の演出をしている感じだ。スイカへの彫刻の方も、手慣れた手つきで手際よく、10分ほどで牡丹花を完成させてしまう。
 この時に行われたビンゴ大会。1人1枚のビンゴカードが配られて、抽選が開始される。1等の景品が1万円以上すると思われる翡翠だと言うから、皆いきり立つ。抽選が開始されて間もなく、
『リーチ!』と言う声が自分たちのテーブルからあがった。リーチになると抽選している場所へ出ていかなければならないのだが、なんとコージが席を立ったのだ。みんなから
『ウソをつくな!』とか
『ちゃんと確認した方がいいんじゃないの?』とか、半分僻みの入った罵声を浴びせられながらも
『翡翠は俺が貰ってくるよ。』と嫌味な一言を残して、テーブルを後にしていった。
 自分たちのテーブルでは、2番目にリーチがかかったのは自分。コージと同じように抽選している場所へと向かう。未だにビンゴが出ていないが、抽選が繰り返される度にリーチの人たちが増えて行く。その中には、清水さんの姿もあった。
 みな1等狙いで目をギラギラさせ、抽選の番号の発表する主催者に注目。そして3回ほどビンゴが出ないまま、リーチの人ばかりが増える。そして続けて抽選が行われる中、とうとう
『ビンゴ』と言う声があがった。でも何か聞き覚えのあるだみ声。一等の翡翠をゲットしたのは清水さんだった。この人には、翡翠は最も不要な筈なのに・・・。自分たち以上に景品の翡翠を狙っていた昼食時に同席していたおばさんが、あたかもその翡翠を欲しそうに
『それは誰にあげるの?』と訊くと、清水さんは
『かあちゃんへのお土産が出来た。これで金が少し浮いたな。ガハハハハ。』と回答になっているのかいないのか判らないことを話していた。1等が清水さんに手に渡った時点で、自分たちのテーブルには運が消えて無くなったと思い、自分は席へと退散。席にも戻ると未だにリーチにもならず、半分諦めモードになっていたシマがそこには居た。
 主催者側は景品をかなり多く用意してくれていたようで、自分も4等の夫婦箸が当たった。その時点で、最も早くリーチがかかった筈のコージはまだ抽選場所で粘っているのには爆笑した。

翠園での夕食の写真はこちら

来来大飯店のオフィシャルサイト(日本語選択可)



福華大飯店
 豪華で楽しい夕食が済むと、全員バスに乗車してホテルへと向かう。この時、現地ガイドから
『まだ時間があるので、この後のオプショナルを受け付けます。』と話しがあった。1人あたり300NTドルで、士林夜市やマッサージ、飲み屋などに連れて行ってくれると言う。勿論、現地でかかる費用は別だが、まずまず良心的な値段設定だったのでこのオプショナルに参加することにした。ここでどうするかで自分とシマで意見が分かれる。夜市を希望する自分と、飲み屋を希望するシマ。両方の行きたい所を回ることが出来ないか、現地ガイドに尋ねてみると
『飲み屋は午前0時までしかやっていない。夜市に行ったら飲み屋は間に合わないよ。夜市の後はマッサージに行った方がいい。』と。それではシマの希望が叶えられないので、自分が
『明日の夜に飲み屋に行きたいって言ったら、連れて行って貰えるの?』と訊くと
『飲み屋は明日にした方がいい。勿論、送っていってあげるから。』と言ったので、今日は自分の希望している夜市に行くことになった。

 ホテルにバスが戻ると、このオプショナルに参加しない人たちがバスを後にする。そのタイミングで自分とショーゴが部屋へと走り、ビデオテープを取りに戻った。
 汗をかきながら、再びバスに乗り込むとすぐにバスはホテルを出発する。すると現地ガイドが1人あたり300NTドルを徴収。今から向かう士林夜市は、MRT淡水線の劍潭駅のすぐ側で交通の便も良い場所なので、鉄道を使うなりタクシーを使うことで安価に行けるのだが、現地ガイドが一緒の方が楽だったのでこのオプショナルに参加をすることに誰も文句は無かった。
 またこの時に、シマの提案で士林夜市の後にエステも行くことになった。


士林夜市
 ホテルから30分ほどで走り、21時15分には、士林夜市へと到着する。バスはMRT劍潭駅の前に停車。道路も歩道ももの凄い混雑をしていて、自分たちはびっくり。いつものペースでちんたら歩いていると現地ガイドや先を歩く旅行参加者たちから完全にはぐれてしまいそうな位の人混みを歩いて行く。
 夜市の入口付近で解散となり、1時間の自由行動となる。自分、シマ、伏見、ショーゴの4人で大変混雑している夜市へと早速歩いて行く。士林夜市は、1車線道路ほどの道沿いに所狭しと多くの店が並んでいる。勿論、歩行者天国となっているので、道の真ん中にも衣類や屋台などの店が出ている。ただでさえ歩く場所が狭いのに、そこには木曜日だと言うのに人々で溢れかえっている。スリなどに気を付けながら、それら店を覗いて行く。
 この夜市で特に目立つのは、衣類を扱う店。若者向けのアパレルを扱う今風のショップもあれば、問屋風のちょっと怪しげな店もある。中には露天で衣類を並べて売っている店などもあった。また東京・上野のアメ横のように、衣類を扱う店同士が、店頭でマイクで客寄せをしている光景なども見受けられた。

 そんな中でちょっとかわいげな子供用のセーターを見つけて、冷やかし半分で交渉をしてみることに。しかし、相手が提示してきたのは600NTドル。自分は半分の300NTドルで言ってみるが、相手は全然商売っ気が無く、あえなく交渉は終了した。600NTドルと言えば、日本円で2400円。日本でも同じようなセーターがもっと安く買える筈。他の店もそうだが、意外にも衣類は高いという印象だった。値段は日本の同じ物と大差ないか、価格競争の激しい日本の方が安い位だ。同じようにシューズショップを覗いていた伏見も、靴も高いと言っていた。

 この士林夜市で面白い店も結構ある。路地に入った場所の露天商では、誰が見てもニセモノとしか思えない時計、ライター、革製品などが売られている。また現地台湾では日本のテレビドラマが大人気で、それら番組のDVDなども多く売られていた。このDVDは、ライセンス製品なのか海賊版なのかは不明。
 また日用雑貨を扱う店もなんとも怪しげで面白い。階段を下った地下に店を構えているのだが、洗剤や調理道具から音楽CDまで、ちょっと埃のかぶった品々が乱雑に陳列されている。そんな中で最も客に目のつきそうな場所に、日本の100円ショップの商品が『日本から上陸』見たいなふれこみで売られていた。でもそこに並んでいたのは、プラスチック製の風呂桶やらザル、ボールなどだった。シマはこの店でビデオテープが売られていないか探していたらしい。ビデオテープがあったら、先程自分から借りたテープの代わりとして渡そうと考えていたらしい。が、自分は
『こんな怪しい店のビデオテープややだ!』とあっさり拒否。
 この他では、ペットを扱う店では子犬からニシキヘビまで売られていて、人集りが出来ていた。あと屋台も色々な店があり、『北海道』なんて名前の店もあって、おでんや寿司が食べられる。フルーツジュースやフルーツをビニールに入れて売っている屋台、揚げパンの屋台からはとてもいい匂いがしてくる。
 それとは対照的に、魚油を使った屋台からは何とも表現しがたい臭いがして、全員が顔を苦める。また食材を扱う屋台では、鳥の足の料理を売っていたり、豚の血をゼリー状にした物が売られていたりして、日本人には非常に珍しく映ることだろう。

 約1時間の自由時間を買い物と言うよりは、色んな店を覗くだけで終わってしまった。通り沿いに並ぶ店を見ているだけでもあっという間に1時間は過ぎてしまう。ただこの士林夜市で、特に欲しいと思う物は見つけることが出来無かった。特に子供服などは期待していたのだが、値段が思っていたより安くなかったし、デザインもなんとも古くさい物が多かった。結局、4人ともここでは何も買わずに集合場所へと戻った。


マッサージ
 集合場所に全員が集まると、混雑する道路に無理矢理停車をしたバスに駆け足で乗り込む。そしてバスは台湾市内へ向かって走り始める。マッサージに向かった店は帝國世界視廳理容名店(インペリアル・ワールド・プラザ)。場所は台北駅北側の繁華街から近く、日中に訪れた新長龍から2ブロック北側に立地し、台北でも最大規模の店を構え、24時間営業している。
 現地ガイドとは、この店の入口でわかれる。この帝國世界視廳理容名店からの帰りは、店のバンで送ってくれるとのこと。
 早速店内に入ると1つの部屋に全員が集められる。この時、15人ほどが部屋の中に居たのだが、士林夜市に出掛けたほぼ全員が、マッサージをするようだ。マッサージは120分コースで2000NTドルで、90分コースだと1500NTドル。オプションとして、足裏マッサージ700NTドル、足裏の皮削り700NTドル、耳掃除500NTドル、顔エステ800NTドルと言った具合。但し、オプションのコースを選んでも、基本のコースの時間内で行われるので時間が長くなることは無いとのこと。日本語を喋るおばさん店員が1人ずつコースやオプションを確認する。隣同士だったショーゴと話しをして、自分とショーゴは顔エステのオプションも付けることになった。シマと伏見はマッサージのみで、コージは耳掃除のオプションを付けている。

 全員のコースが決まったところで、部屋への移動となる。この時、トイレに寄って行った自分や伏見はシマ、ショーゴとは別の部屋になってしまう。危うく自分も全然知らない人たち(同じ旅行参加者たちだが)の居る4人部屋の中に1人ほうり混まれそうになったが、頑なに拒否をして遅れてやって来た伏見とコージと一緒に3人部屋に。
 その3人部屋には既にマッサージ師が待ち受けていたが、最初に部屋に入った自分の特権として最も若いと思われる女性(オールナイトフジに出ていた片岡聖子そっくり)のところに行く。伏見とコージはおばさんのマッサージ師のもとに。

 マッサージの方だが、自分は実を言うとマッサージが大の苦手。床屋や美容院に行っても、マッサージをされると何故か笑いがこみ上げて来る位、マッサージは苦手。他の3人が行くと行ったので仕方無しにここまで来てしまった感がある。
 まず服を全て脱いで薄着の服に着替えさせられる。そして角度の変えられるベッドに仰向けで寝る。前面上方にはテレビモニタがあって、台湾向けの字幕入りの日本のテレビ番組を見る事が出来る。早速、肩や腕の付け根辺りからマッサージが始められる。コージは自分の右隣で変な吐息をあげているし、伏見は全く表情を変える様子もない。きっとマッサージが気持ちいいんだろう。自分といえば、
『イタタタタタ。』とか
『ゲラゲラ・・・』といった具合に痛い、くすぐったいの繰り返しで1人奇声をあげている。自分を担当していたマッサージ師は、そんな自分にとても親切に
『痛い?痛い?』と何度も聞いてくれて、力加減を調整してくれた。それを見て、コージは
『なに奇声をあげてんだよ。』と言う言葉と共に失笑された。
 自分と自分を担当してくれたマッサージ師は、それなりのコミュニケーションがあったのだが、伏見、コージとおばさんマッサージ師たちに会話は殆ど無く、黙々とマッサージを受けている。

 マッサージを始めて間もなくすると、白衣を着た男性が部屋へと入って来る。そしていきなり伏見の足元のへ行って足を見始め、
『あなた、足にタコがあるから皮削りをした方がいい。』と足削りをするように促す。伏見は冷たくそれを断る。その白衣の男性は、自分やコージの足も見て、同じ言葉を繰り返すが自分たちも断った。
 マッサージが手先あたりまで進んだ頃になって、顔エステの準備の為に女性スタッフが何やら道具を持って入って来た。この部屋の中で顔エステのオプションを頼んだのは自分だけ。ところが間違って伏見のもとにそのスタッフが行ってしまい、伏見が頼んでいないと言うと、今度は顔エステをやった方がいいと必死に伏見を口説き始める。早々と白旗を揚げてしまった伏見も顔エステをやることになった。更に1人のスタッフが増えて、顔エステの準備が始められる。顔エステの最中でもマッサージは軽めに続けられる。
 顔エステの最初に行われるのは髭剃り。日本の床屋で髭剃りして貰うのと同じように、蒸しタオルを顔にかけてからシェービングクリームを塗ってカミソリで髭が剃られる。とても手早い作業だった。
 髭剃りが終わるとジェルバックを顔全体にし、温風がかけられる。口を開けることが出来無いので、鼻穴が塞がらないようにパックをしてくれる筈なのに、伏見は鼻にもジェルが塗られてしまい、何か棒状の物を鼻に突っ込まれたらしい。髭剃りをしている時にも、汚いから毎日髭を剃れみたいなことを言われたらしく、根負けしてやることにした筈の顔エステなのに結構酷い目に遭っている。
 ジェルパックをきれいに取ると、バキュームを使って鼻の毛穴につまっている角栓の除去が行われる。バキュームは全く痛みは無く、この作業が終わった時点で顔エステ担当から
『見て。こんなにとれたよ。』と片言の日本語で取れた角栓を見せられる。これで終わりかと思いきや、これから地獄が始まる。毛穴に小さな輪状になった道具でグリグリとやり始めるのだ。バキュームで取りきれなかった角栓を押し出す為らしいが、痛くて痛くてたまらない。とくに鼻穴の横あたりをやられる時は、針で思いっ切り引っかかれるような痛みがする。隣では苦痛の声をあげている伏見。自分は声はあげなかったが、余りの痛さに涙がボロボロ出てきた。その涙をマッサージ師が
『大丈夫?』と言って拭いてくれたのが唯一の救い。
 とにもかくにも痛かった毛穴掃除が終わると、再びジェルパックが行われる。暫くすると伏見の所に顔エステ担当が戻って来てジェルパックの除去が行われたが、自分の所には一向にジェルパック除去にやって来ない。しびれをきらしたマッサージ師が顔エステ担当を呼びに行ってくれて、やっと自分のジェルパックもきれいに取られた。

 ジェルパックのお陰で、他の2人よりもマッサージが進行が遅れてしまった自分。既にコージや伏見はうつ伏せに体制を変えて、マッサージ師たちが体の上に乗って、足を使ったマッサージが始められている。その最中、コージがエビ反り状なり、突然奇声をあげて
『ソーリー、ソーリー。アイム・ソーリー。』とわめいている。何があったのか聞くと、ふくろはぎをマッサージされた瞬間に足が攣ったらしい。ベッドから立ち上がって、親指を必死に反らせることで何とか足攣りは収まったようだが、この苦しんでいる最中に
『何でアイム・ソーリーなんだよ?意味不明。』と自分から罵られ、伏見からは
『普段の行いが悪いからだよ。ざまーあみろ。』と鬼のような罵声を浴びせられていた。
 マッサージは続けられ、自分もふくろはぎの裏の足を使ったマッサージとなったが、コージの言う通り確かに足が攣ってしまいそう。ちょっとでも油断をしたら、すぐに足が攣ってしまう感じだった。また今までは黙々とマッサージを受けていた伏見だが、ふともも裏に乗られた時は、痛いと連発していた。

 マッサージは本来、体の疲れや凝りを解消する為に受けるものだが、自分の場合はマッサージ中も体がコチコチに緊張していたこともあって気疲れしてしまった。90分間のマッサージだが、特に痛みを感じた肩などはとても熱を発している感じ。マッサージ中に痛みを感じると言うことは、やはりその部位が凝っていたり、良い状態でないのだろう。それでも肩や足はちょっと軽くなったような気がする。
 また見た目でも顕著に判るのが、鼻の周辺だろう。顔エステのお陰で鼻周辺のテカテカ感が無くなって、スッキリした感じだ。会計をする時に、シマが自分を見て
『やっぱ顔エステやったって感じするよ。でもショーゴはあんまり変わらないなぁ。』と。800NTドルも払って、顔エステやったのに、ショーゴのテカテカ感を取ることは出来無かったらしい。

 マッサージを終えて、、小雨の降る店外に出たのは午前0時半。帝國世界視廳理容名店のバンでホテルまで送って貰い、それぞれの部屋へと戻る。
 明日は1日自由行動。自分は早くホテルを出発したいと思っていたのだが、今日もホテルに戻って来たのが深夜なのでなかなか言い出しにくい。ところがシマから別れ際に、明日の集合は8時半にしようと言われたので安心した。
 今日1日、朝から晩までずっと動き回っていたのでやはり疲れたのだろう。ショーゴは早々にベッドへと入る。自分は、明日の行動予定を決める為、ガイド本とにらめっこ。結局自分が就寝したのは、2時半過ぎだった。


 
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